悲しいかな、私はあまり体がつよくはないのだろうなあという事を、最近よく思う。
近頃はだいたい月に一度くらいの頻度で、何かしら体の不調を感じている。
まあその不調の中には二日酔いも含まれているのですが・・・。
とはいえ今回は本当に、なんの前触れもなく、突然にして体調がグレてしまった。
「今日はなんだか首の後ろ側がやたらスースーするな。」
と思った直後、あれよあれよという間に景色がぐにゃりと歪みはじめた。
視線を動かした先に、意識のピントが合うまでに一瞬の遅れがある感じ。
なんだか体にも力が入らず、胃のあたりがムカムカし、頭はふわふわ、足はガクガク。
幸い急ぎの仕事はなかったので、さっさと帰宅させてもらった。我ながら、こういう時の決定は素早い。
そしてその判断が正しかった事が分かったのはそれから1時間後だった。
鬼の様な悪寒。倦怠感。朦朧とした意識の中でみた夢は全裸で吹雪の荒野に立って叫ぶという内容だった。
手足が異様に冷えており、ダウンジャケットを着て布団に入っているのにも関わらず、寒くて震えていた。正直、我が家の家宝でもある電気毛布がなければ、今もこの文章を書けていたかどうか定かではない。
自らが発する高熱のため、枕はすぐに熱くなり、気持ち悪くなってひっくり返してみるもまだぬるい。枕のぬるさ由来の寝苦しさと、風邪の気分の悪さから逃れるようにうつ寝返りも、その回数ばかりが虚しく増えてゆくだけだった。
夢とうつつを彷徨うなか、こんな情景を目にした。
私はなにか機械(?)のようなものを開発していて、その形は痔(ぢ)の人が尻の下に敷くドーナツ型のザブトンの真ん中の空間部分に、何か丸い箱が埋め込まれており、それら全体を胴体として、そこから首が伸びてその先に鳥の顔が付いているという、妙に心を不安にさせるフォルムの何かだった。
スイッチを入れるとガタガタと振動しはじめるそれを見て私は
「やった!やった!できたぞ!」
と誇らしげに喜んでいるのだけれど、誰かにそれを量産するように言われてとても落ち込むという奇妙な夢を、時間の感覚を完全に喪失した意識の中、繰り返し繰り返し見た。
さすがに辛くなったので、なにか楽しい動画でも見ようと思ってスマホを手にすると持っていられないほど重かった。それどころか、もっと言えば目を開けていられない程にまぶたが重かった。
完全に心を折られた私は、この時、産まれてきた事を後悔していた。
まぶたの裏の闇の中にこれまでの人生で優しくしてくれた人たちの姿が去来し、悲しくなった。
「どうして人はかならず別れるのに出会うのだろう、どうして人はかならず跡形も無くなってしまうのに産まれてくるのだろう。」といった事をとりとめもなく思い、さめざめと泣いた。
気がつくといつしか部屋は暗くなっており、ふいにチャイムが鳴った。
震える体を押さえながら玄関に出ると、義母が食料や飲み物を持ってきてくれた。
体調を崩した自分を見られるのが情けなく、恥ずかしかったが、とても心強く、ありがたかった。
それからしばらくして妻が帰ってきた。助かったと思った。ああ、オレは結婚していたのだ、よかった!でかしたオレ!と心から思った。
長い夜を超え、次の日の朝、妻に病院まで送ってもらい受けたインフルエンザの検査は陰性で、薬を処方された私の体調は徐々に快方へ向かっていった。
そしてさらに翌日、朝から職場へ向かう途中に見上げた青空の清々しさに、人生の素晴らしさを感じたのでした。
まったく体調を崩すことのない人が世の中にはいます。その人達の事が羨ましくもなりますが、こんな体調を崩しやすい私だからこそ分かってあげられる人の気持ちもあると信じて、これからも日々精進したく思います。
普段まったく必要ないのですが、高熱に見舞われた時はアイスノンほしいなと心から思いましたので、私はこれを買おうと思います。最近のアイスノンは柔らかいのですね。
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