コンピューター

アナログとデジタルの違いをわかりやすく説明

2017年10月31日 追記

皆さんアナログとデジタルの違いってきちんと理解されてるでしょうか。

大体は理解されてる事だと思いますが、意外と漠然とされてる人が多いのかなと思ったので記事にしてみました。

アナログとデジタル

テレビを例に

たとえば、2011年にテレビ放送は、それまでのアナログ波放送から地上デジタルテレビ放送(地デジ)に変わりました。
これまでアナログであったものが全てデジタルに変わる。
なんだかアナログよりもデジタルの方が絶対的に良い感じがします。

しかし、実際的に、両者は一長一短、それぞれメリットとデメリットを持っています。

アナログとは

wikipediaより拝借

アナログ(英: analog、英語発音: [ˈænəˌlɔːg] アナローグ)は、連続した量(例えば時間)を他の連続した量(例えば角度)で表示すること。デジタルが連続量をとびとびな値(離散的な数値)として表現(標本化・量子化)することと対比される。時計や温度計などがその例である。エレクトロニクスの場合、情報を電圧・電流などの物理量で表すのがアナログ、数字で表すのがデジタルである。

連続した量というのがポイントですね。
正弦波(サイン波)がいかにもアナログ代表という感じですね。
pw_sin

対してデジタルとは

wikipediaより拝借

デジタル(英語: digital, 英語発音: [ˈdiʤətl]。ディジタル)量とは、離散量(とびとびの値しかない量)のこと。連続量を表すアナログと反対の概念である。工業的には、状態を示す量を量子化・離散化して処理(取得、蓄積、加工、伝送など)を行う方式のことである。デジタル処理、デジタル記録、デジタル伝送、デジタル制御などがある。

デジタルをビジュアル化すると矩形波になります。
pw_ract
要はアナログ(連続した量)を人間にわかりやすいように数字に置き換えようという試みがデジタル化です。

アナログをデジタルに変換する

ということで、アナログとデジタルの関係がわかりやすいように頑張って図を書いてみました。
アナログをデジタルに変換する時の仕組みをご紹介します。

連続的な緑色の波線がアナログ情報で、水色紫色の「同じサイズの四角(=データ)」のたくさん並んでいるのがデジタル情報です。

デジタル化というのはつまり、連続的な曲線を、それに似た形の四角(矩形)の集合に置き換える作業です。

デジタル化によるアナログ情報の変質はまぬがれない

図には赤い部分と、紫色の部分があります。
これは、もともとのアナログ波形をデジタルデータ化した時にオリジナルと異なってしまった部分です。

赤色の部分は"サンプリングレート"の不足によって失われた部分です。
紫色の部分は"解像度"の不足によって失われた部分です。

アナログの波形をデジタル波形に変換する際には確実に情報の損失が起こります。
これからずーっと先の未来では、アナログの波形を完璧にデジタルに変換する事も可能になるのかも知れませんが、今のところその予定はありません。

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サンプリングレートとは

ある時間内で、アナログの波線の事を何回、四角に置き換えるかという事です。
たとえば、音楽CDのサンプリングレートは44.1kHzです。
これは、1秒間のアナログの音声波形を44100個に分割して、その時点の音声情報をデジタル情報に変換しているものです。
これは相当なめらかで、耳で聴く分にはほとんど違いがわからないかも知れませんが、オリジナルの情報は確実に失われています。

音のサンプリングレートに対してよく似たものに映像のフレームレートというものがあります。
映画館の映画は一般的に1秒間に24回コマ(=静止画)が差し替わっています。
これを24FPS(=Frame Per Second)といいます。
静止画を素早く切り替える事で動いているように見えているのです。
これと同じようにCDの場合は1秒の間に音を44100回つなぎ合わせることで音が連続している様に聞こえます。

解像度とは

デジタル情報にするには「同じサイズの四角」(=デジタルの最小単位であるbit)に置き換えないといけないので、波線からはみ出てしまったり、わずかに足りなかったりする部分が出てしまいます。
この部分の情報は「似てるけど別の物」になってしまいます。
これはデジタルに変換する際の解像度が足りない為に起こってしまいます。
しかしやはり、曲線を四角で表現するとどうしてもカクカクしてしまいますね。

あなたが今この記事をご覧になっているモニターもデジタルで、ぱっと見文字が滑らかに見えていても、拡大してみると点のあつまりにすぎないのです。

それぞれ精度を上げる事はできるけど

サンプリングレートも、解像度もそれぞれ精度を上げる事は出来ます。
これは上の図で言えば、現在大雑把に敷き詰められている四角をもっと細かくびっしり並べる形です。

どこまでもどこまでも精度を上げる事は出来ますが、データ量(=四角の数)は精度に比例してどこまでもどこまでも増えてゆきます。
それを処理する能力(CPUのパワー)も、保存する場所(ハードディスクやSDカードの容量)もどこまでも必要になってきます。

なのでまあ現実的にこのあたりで折り合いをつけましょうというところで、アナログ波形はデジタル情報化されるのです。

この「現実的な折り合い」のレベルは、時代の進むごとのコンピューターの性能にともなって上がり続けています。

コンピューターが昔よりも早く、大量のデータを処理できる様になった事で、解像度やサンプリングレートは上がり続けているのです。

アナログ・デジタルそれぞれのメリットデメリット

アナログのメリット、デメリット

良いところはずばり「早い」という事ですね。いちいち数字に置き換える必要がないので、アナログ信号は回路を通る電気の速度≒光の速度で出力されます。
でも同じものは二度と出せません。一回一回が唯一無二なんですね。決して完璧なコピーが出来ないという点で、これはアナログの利点でもあり弱点でもあります。

また、アナログの情報は媒体(メディア)の物質的な消耗に応じて劣化していきます。
例えばレコードは長く使っていると音が悪くなっていってしまいます。
これはレコードの溝の形を読み込む針がレコードの表面に接触する事によって、僅かずつですが削られてゆくためです。

これは厳密に言えば、買ってきた新品のレコードをはじめて聞いたときと、2回目に聞く時とでは完全に同じ音を鳴らす事が出来ない事を意味します。

デジタルのメリット、デメリット

デジタルはアナログに比べて「遅い」です。上で書いた通り、アナログ波で出力された信号を、デジタル回路を通して数値に変換しなければならないからです。
しかし近年の技術の進歩により、処理速度が向上し、十分実用的に「早い」ものになりました。
(十分実用的に早くなったので、テレビ放送は全て地デジ化したということですね。)

最大のメリットは完全なるコピーが可能という点です。
上の図の通り、四角の大きさと間隔と数がきっちり決められてデジタル情報となりますので、デジタル情報は簡単確実にコピーできます。

しかしこの最大のメリットは、時にデメリットにもなってしまいます。

市場価値としてのアナログ、デジタル

世の中の価値の高低は需要と供給のバランスで成り立っているので、いくらでもコピーができるという事(=デジタル化)は供給が無限という事になります。
つまり、デジタル化してしまうということは究極的にそのものの価値を0にしてしまう事とも言えます。

アナログは唯一無二であり、その事がすなわち価値であると言えるんですね。

ある詩の一節をかりれば、世界にひとつだけの花という感じです。

「良くも悪くも唯一無二であるという事で価値がある」というのはコピーの氾濫するデジタル化された社会において、改めての再発見であると思えます。

とはいえ、究極的に考えれば、真にアナログなものは存在しないとも言えるのではないかと思います。なぜならこの世界を構成する全てのものには最小単位が存在するからです。
どんなに固い金属も、ミクロの目で見るとスカスカです。
最後に行き着く所は素粒子で、これは確率で存在するものなので物質とはいいにくいのですが、これが最小単位。
モニター上の1ドットにあたるものです。

これらを完全にトレースする事が出来れば、アナログなものであっても完全にコピーが可能という事になります。これは人間の完全なコピーも作成が可能という事を意味します。

全く同じ物質的構成で出来た二人の人間は全く同じ記憶と意識を持つのだろうか、という事が心の仕組みを研究している人工知能等の分野では良く言われている事ですが、皆さんはどう思われるでしょうか。

デジタル・アナログの話しは以上で終わりますが、みなさんの理解の一助となれば幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

本日もG線上のきりんにおこしいただきありがとうございます。

CDの仕組みはわかるのですが、アナログ・レコードの仕組みが謎過ぎたので調べてみました。

蓄音機の原理を調べてみた。デジタル世代の僕にはむしろレコードが謎でした。

これからの時代のコンピューター・人工知能・AIについて語られたこの本は実に面白いものでした。未来に興味のある方には是非ご一読をおすすめします。

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