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先日、佐世保のニュースを配信するウェブメディア「させぼ通信」を運営しているタケD氏にお誘いいただき、佐世保の老舗料理店「ささいずみ」で刺身を撮影してきました。
あ、今調べると刺身と言うよりも、いわゆる「お造り」というみたいですね。
魚がぐいっと皿の上に小粋に飾られているあれです。
撮影前の打ち合わせ
撮影事前に、タケD氏にイメージ画像を送ってもらっていました。それを見ると、だいたい2つくらいの品目(お魚と貝)を被写界深度深めで撮影するという写真でありまして「この勝負、もらった」と思ったのでした。
私は意気揚々と「これなら撮影できますよ」とお返事したのでありました。
私の頭の中には、既に当日撮影に必要なセッティングが出来上がっていました。
いざ撮影日
余裕で撮れると思いつつも、心配性の私は本番の前に撮影に使われる部屋を見せてもらいました。なるほど、部屋の壁は白く、光はよく回ってくれそうです。これなら安心と思って撮影時間までタケDと二人で雑談をして過ごしました。
そしていざ撮影の時間がやってきました。よーしやるぞー!とカメラを取り出してセットアップをしていると「白い布」について尋ねられました。クライアント様の意向により、どうやら下に敷く白い布が必須の様子。
刺身の下に白い布を敷くかどうか、というのは事前の話し合いの段階で議論の的になったのでしたが、まあ部屋は白壁だし、レフとしても必要ないし、テーブルの上に乗せて撮ればいいと思った私は「白い布は要らない」という結論を出していた為、布は持ってきていませんでした。
しかしここに来て突如、白い布が絶対に必要になった私達でしたが、幸い、付近の友人に連絡をすると白い布があることがわかり、胸を撫で下ろしました。私達はなんとか、白い布を手に入れることができたのでした。
タイムリミットはイカの白さ
白い布騒動が終わり、お造りのステージも整ったころ、一皿、また一皿とお刺身さん達がやってきました。
最終的に皿の数は合計三つ。撮影する品目は4つ(刺身x2、イカ、ウチワエビ)で、どれもバッチリ写してほしいという事を聞いたのでした。
私は内心「多いな…」と思いました。
皿の形も正方形、長四角、もっと長四角の3枚で用意されており、想像以上にバランスが難しい。
写真で撮影した時にベストの構図になるように皿のフォーメーションを変えてはテスト撮影を繰り返しているうちに、すぐに30分程の時間が経ってしまいました。
「この撮影、時間の制限とかは大丈夫ですよね?」
とお店の人に尋ねると「大丈夫です、この部屋はこの後に人が入る予定はありませんので、でも、イカがどんどん白くなってしまうので・・・」
え?と思ってイカを見てみると、たしかに、最初に見た時よりも白くなっているような気がしました・・・。
まあイカの白さについては完全に想定外でしたが、なんと言っても刺身は鮮度が命ですからね!
しかし前述の様に、刺身達の向きや、それらの乗った皿の形などで自由度は限られており、その中で最もバランスの良い配置を探し出すのはかなり難しい。
さらに、全体的にピントが合っている様な写真を撮るにはあらかじめやや広角気味で撮ってからあとからトリミングをするのが有効であるため、ここに来て三脚を持ってきていなかった事をやや後悔しはじめました。
もっと言えば、トリミングした後の画像を確認するためにMacBookも持ってくりゃあ良かったなあ、なんて。
しかし今はそんな泣き言を言っている場合ではないのです。なんとしてもこの仕事をやり遂げる必要が私にはありました。
皿の下にスペーサーを置いて持ち上げたり、その都度光の回し方を幾つかのパターンで検証し、という事を繰り返し、ようやく撮影は終了。
安全策に安全策を重ねたので、撮り逃しはないはず。と思い家に帰って仕上げた写真がこちらです。
大きな写真はこちらから
イキイキとしたお造りの見事さと、魚介の惠みの素晴らしさを表現出来ていれば幸いです。撮影中、ほとんど初めて「魚の顔って可愛いな」なんて思いを得ました。
この写真は、近々雑誌に掲載していただけるという事で、発行されたらまたご紹介できればと思います。
こういう写真を撮影する際には、一枚の写真にはいる被写体の数や、皿の形などを聞いた上で、できれば現物でシミュレーションするべきなのだなあという事を改めて勉強させていただけた撮影となりました。
「段取り八分、仕上げ二分」ということわざがありますが、この言葉を座右の銘として今後とも仕事にあたって行きたいなあと思った次第です。
なお、撮影に使ったお刺身はスタッフがおいしくいただきました。
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