こころ

みんな感じることがあると思う。又吉直樹氏著「火花」を見た感想

先日、おくればせながら標題の通り、又吉直樹氏著の「火花」を読みました。

お笑いという世界に生きる若者の葛藤や逡巡が業界の後輩(主人公)と先輩という二人を主軸にして語られた熱い作品でした。

タイトルの「火花」とは、夏祭りのシーンであがる花火と、一瞬輝いては消えていく芸人たちを暗喩したものなんでしょうね。

芸人たちはそれぞれの青春を、「お笑い」という何の保証もつぶしも効かないような世界に費やしていき、あるものは大輪の華を咲かせ、あるものはひっそりと消えていく。

その青春の中である意味似たもの同士、そしてある意味正反対の二人が出会います。

二人はお互いの良さを認め合いながら、一方は自分の感覚だけを信じて最高に面白いと思うもののみを純粋に求めてゆき、もう一方は自分の考える面白さと世間の価値観をすりあわせて行く道を選びます。

この作品の中でその二者のゆきつく先は描かれていませんが、みなさんはどちらが正しいと思われますでしょうか。

とか聞いておきながら、もちろん、どちらが正しいかなんていう答えがあるはずもないのですが…。

話しはかわって、昨日、「きっとうまくいく」という映画を見ました。

その中の主人公は「情熱を燃やせる事をしろ、成功を求めるな、情熱的に優秀さを求めれば成功はあとからついてくる」と繰り返しのべます。

映画の中でそう言った主人公は大科学者となって物語は幕を閉じました。

とても美しいハッピーエンドでしたが、果たしてこの事が現実にも同じように言えることなのか、それはわかりません。

しかし34年間生きてきて、ひとつだけ言える事があります。

人は、自分が好きな事をやらなければ、それを心から好きな人には決してかなわないということです。それは成長の速度についてもさることながら、単純に、続けることができないという事だと思います。

一万時間の法則(一万時間の練習によって、他を圧倒するスキルを得る事ができる)なんていうものがありますが、そりゃあ一万時間も費やせるほどのモチベーションがあれば、当然上達するよねって話しです。

ただ逆説的に言うと、そもそも現代の人間には身分制もなく、職業選択の自由もあるわけで、誰しも好きな事ができるはずなのだから、誰しも好きな事(それぞれがベストだと思えること)をやってるはずなんですよね。

しかし、本当に、心の底から情熱を燃やす事のできるという意味の「好きな事」を続ける事のできる人間というのは、おそらく人間が人間である以上、いつの時代も一握りなのだと思います。

好きな事をする、好きなように振る舞うという事にはかならず大きな犠牲がつきまとうものだし、好きな人生を生きるという大いなるリターンを得るためには、かならず大いなるリスクがともなうものだからです。

そのリスクを背負える人間は、いつの時代も多くはなく、そういう生き様を持つ人こそが、英雄と呼ばれる人間なのだろうなあと、ぼんやり考えたのでした。

私も多数の人の例にもれず、リスクをコントロールしてしまいます。それが一概に悪いとは自分でも思っていませんが、時として自分の心を犠牲にして誰かに迎合するような真似をしてしまった時、後悔を感じることもあります。

それが大人になるということだ、という価値観がひょっとすると、世間にはあるのかも知れませんが、こういった己を裏切るような行為をいかに減らせるかということを、私はこの人生で追及してゆきたいと願ってやまないものです。

とはいえ己をつらぬくことばかりに夢中になってしまっては争いが絶えなくなってしまいます。己をつらぬくことと、調和をはかる事を高次元で融合させるというところに、難しさと、面白さがあるような気がします。

未完成の物語のゆきつく先がどうなるのか、きっとうまくいくと信じて心の情熱のまま生きてゆきたいですね。

「火花」想像以上に面白くて一気に読めました。

 

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