レビュー

許すまじ宇宙ゴミ。アニメのプラネテスが面白すぎて紹介したい

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ちょっと前に手持ち無沙汰にプライムビデオを視聴しようとしたところ、「プラネテス」というアニメが追加されている事に気づいた。

これの原作であるコミックは名作と名高く、私自身もとても思い入れの深い作品だったので、ウキウキして再生をしてみたところ、見はじめて間もなく
「よくある原作とストーリーが違うパターンのアニメか」
とがっかりした。

しかし、このアニメが作られた当時の人たちが思い描く「未来」の描写が、丁寧に描かれていて興味をそそられた。

調べてみると14年前の作品らしい。

舞台設定は2070年代の未来だが、携帯の端末は表面の半分くらいがモニターで、タッチパネル式ではなく操作ボタンが付いていたり、対戦型の携帯ゲーム機は太いケーブルで繋がったりしていて、2017年の現代は2003年の人々が考えていた2070年よりも随分未来っぽい。

そんな事を考えつつ鑑賞をしているといつの間にか見はまっていた。

このアニメには「田名部愛」という博愛主義者のヒロインがいて、序盤ことあるごとに「愛が足りない」だの「愛がないんですか」だの、主人公の「星野 八郎太」に対して啖呵を切るのだが、なんという上滑りな事を恥ずかしげもなくこの娘は大声で語るのだろうかと、俺は頬を赤らめつつご近所の人々にこのセリフが聞こえたりしないよう、テレビの音量を密かに下げた。

「こんな娘が職場にやってきたら全然仕事が進まないぜ」なんて一人言でうそぶいてみるのだが、こんなにも「愛」という言葉に過敏に反応してしまうのは、自分がいかにその言葉にとらわれているかを示すようでまたも恥ずかしい。

「愛こそ全て」と言うのは分からないではないが、それを口に出すと途端に安っぽく感じてしまう己の中の青さに気付かされる事態。34歳、不惑にはまだ遠いのであった。
中盤以降になると、この娘も不用意に愛について語る事をしなくなるので随分見やすくなる。

また「フィー・カーマイケル」という女宇宙船長がタバコを吸っているのも興味深いものだった。宇宙では空気が貴重な為、喫煙者である彼女は少々肩身の狭い思いをしている。

現実の世界に目を向けてみると、ここ1〜2年の間で急速に旧来の火付け式タバコが過去のモノになりつつあるのを感じている。これはタバコ業界全体が結託して「加熱式タバコの方がオシャレかつ安全」という印象操作を全力で展開している結果であり、大きな組織が本気でキャンペーンを張ればこうも簡単に街角の様子は変わっていくのかと、非喫煙者の私にとっても興味深い。

飲食店などで隣の席の人がタバコを吸い始めると、やはり残念な気持ちにならざるを得ないので副流煙の少ないタイプのタバコが世に普及していくのは個人的には大賛成だ。

だいぶ横道にそれてしまったけれど話を戻します。

このアニメは上記の様な面々によって繰り広げられる「宇宙のゴミ拾い」の物語である。

ご存知の通り宇宙には空気がないので物が時速3000kmくらいで飛んでたりする。このスピードだとネジ一本でも宇宙旅客機を落とす程の威力になってしまうので、巨大企業の社会貢献として採算度外視で行われているゴミ拾い事業の、彼らは一員なのだ。

すごい速度で飛んできたネジが人工物に当たると、人工物は破壊され、壊れた人工物が更にすごい速度のネジを多数発生させてしまう。これが連鎖的に起こり宇宙の軌道がゴミだらけになってしまう「ケスラー・シンドローム」という現象は実際に危惧されているようだ。

ゴミ取りの作業中にミスをした主人公の「星野 八郎太」は、ある時宇宙空間を一人漂う事になり、それが原因で宇宙空間と似た環境に置かれるとパニックになってしまう心の病気を患ってしまう。
この病気の間、彼は幻覚の中で自分自身と出会い、対話をするシーンがあるのだが、要するに彼がそのような心の病気を患ったのは、彼自身が持つ大きな夢を諦める言い訳を手に入れる為に自ら作り出したものだったという事も、なんとも緻密な心理描写であるものよなあと、改めて感動したりもした。

もしも俺が俺と出会ったとしたらどんな話をするだろうか。おそらくは語る事など何もなく、ただ腹周りの贅肉をつかみ合うような想像をしてしまったのはいささか悲しい。

コミックスの方は全4巻という短いながらも濃密な内容となっており、2017年現代の暇のないビジネスメン諸君に実におすすめしたいものであります。

アニメは原作と違う所も多いけれども、これはこれでかなり面白いというか、原作をそのまま踏襲しない二次作品としては、原作を見事に補完するような仕上がりになっている、稀有な例なのじゃないかなと思う。

エンディングの時に流れる「すっばらしい〜人生なのさ〜」という底抜けに能天気な歌詞でかつ、昔を思わせるやたらと巻き舌で歌っている曲が当初鼻についていたのだが、ある時尻でリズムを取りながら鼻歌を口ずさんでいた事に気づき、一抹の悔しさを感じた。
今となってはとても好きなエンディングです。

ちなみに作者の幸村誠氏は現在「ヴィンランド・サガ」という北欧バイキング達の叙事詩を題材にした漫画を執筆中で、これも漫画好き垂涎の逸品である事もお伝えしたい。

 

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