エッセイ

終わらない青春と、眠らない体を。

生きていると定期的にジャッキーチェンが見たくなること、みんなにもあるんじゃなかろうか。

ぼくにはついこの間、その波が訪れたので好機を逃すことなく乗ってみました。

AmazonPrimeビデオを調べてみると「ベスト・キッド」という映画が見つかった。

わざわざビデオ屋にレンタルをしにいかなくなったのは実に素晴らしい時代のおとずれと言える。

レビューの評価も上々だったので実際に試聴してみることにした。

するとまあ、想像以上に面白かったので、びっくりしました。

なんて言えばいいのかなあ。

かんたんに言えば中国に行きたくなったし、中国でカンフーを学びたくなったし、中国のカンフー大会に出場するべく、体を鍛えたくなったのであった。

実にわかりやすい男であると、今は自分で自分を笑っているところです。

ストーリーはとても単純なのだけどね。

主人公(ウィル・スミスの息子)はアメリカから中国に移住して、そこでいじめられっ子に目をつけられていじめられる。

それを見かねた、暗い過去を背負った枯れたオッサン(ジャッキーチェン)が少年にカンフーの指導をはじめる。

ヒロイン役の子と上手く行ったり行かなかったりの少年。

オッサンは純真な子供との触れ合いの中で、希望を取り戻していく。

いじめっ子との決着は、カンフー大会で決される。という内容。

出演者や序盤の始まり方など、映画の雰囲気だけで、だいたいの終わり方の方向性っていうのは見えてくるので、あとは多少の紆余曲折はあれど、物語はだいたい予想するところに収束していくわけで。

まあ予定調和をなぞっていくような時間に過ぎなかったのだけれども、前述のように中国に行きたいと思うくらいに物語に没入させてもらいました。

楽しい時間はあっという間に過ぎて、映画は終わる。

子供の頃、両親に物語の読み聞かせをしてもらった時、物語の終わりのその部分だけでは満足できず、

「この後はどうなったの?」

とストーリーの続きを親にしょっちゅうせがんでいた事を思い出した。

はじめは丁寧に考えて答えてくれていた両親も、最後の方では「またはじまった」という具合で、適当にあしらわれて、物語は強引に終止符を打たれてしまうのだった。

所詮ぼくは今でも、バック・トゥ・ザ・フューチャーの1を見て2を見て3まで見ても「その先」を見たがるのだ。

そんな所もふくめて、ぼくはあまり映画が得意じゃないのかも知れない、なんて事をかんがえたのだった。

美しすぎて素敵すぎる物語は、終わりをむかえる時に良かったものと同じだけの虚無感をもたらしてくれるのだ。

いや、逆かもしれない。

終わりを迎えたその瞬間に、良かれ悪しかれ、過去はかけがえのないものに変容してしまうのだ。

そうなってしまうのは、そこに有限である自分の命の時間と引き換えにしたという、ただそれだけの事実で十分なんだろう。

本日もG線上のきりんにおこしいただきありがとうございます。

あまり風采の上がらないこの現実も、生きている間はその続きが見られるという事で、映画よりは随分マシなものに思えることもあるね。

 

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