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モンゴルに到達するも夢叶わず。名護屋城にみた兵どもが夢の跡

以前に「鷹島いいっすよ〜」という話を聞いて以来、ずっと心の中に鷹島の事が引っかかっていた。

最近はわりと暇になったので、「どれ鷹島という島でも見てやるか」という気持ちになった。
やや傲慢で申し訳ない。

そう思いついた頃、私は呼子の港付近にいた。

呼子の漁港感にはいつも心を高揚させられてしまう。

イカを求めてぶらぶら彷徨う人々のかたわらに、大量のイカ達が円形に吊るされて高速で回されている風景はじつにシュールだが、活気に満ち溢れていて嬉しくなってくる。

呼子のメインストリートを通りすぎたあとで

「回るイカ達のスーパースローモーションムービーを撮ってインスタに載せよう」

と思いついて引き返したが、ほんの5分ほどの間にイカ達はすべて居なくなっていた。

写真が撮れなかった回るイカたち https://www.travel.co.jp/guide/article/19054/ 様より引用

残念な気持ちを胸に、近場にあるという「風の見える丘公園」に行こうという事に。

結論から言うと風は見えなかった。

駐車場からほど近くの高台に白い小屋が建っており、そこから「呼子大橋」が見えたが、若干曇っていた為か、あまり感動はなかった。

そのため写真もない。

小屋の中には呼子について色々な事が書かれていたが、私の興味をひく内容ではなかった。

今思えば「公園」という名のついた場所であったので近くに自然豊かな広場でもあったのかも知れなかったが、とにかく寒かったのですぐに車に戻った。

ここで冒頭の「鷹島に行ってみるか」に繋がるのである。

地図を探索している間に「名護屋城跡」という場所があり、気にはなったが鷹島という確固たる目的地ができていたので、意識しないようにしていた。

しかし、鷹島に向かっている最中に、その「名護屋城跡地」に出会ってしまうのであった。

その付近だけがなんだか少し素敵な雰囲気に変わり、私は誘われるようにハンドルを名護屋城跡地に向けて切った。

この名護屋城は、かの豊臣秀吉が大陸への侵攻の足がかりとして建てた城であるらしく、その大きさは建設当時大阪城につぐ大きさだったらしい。

既に天下統一を果たした秀吉が各地の諸侯を集めて競わせるように急ピッチの工事を敢行した結果、わずか半年ほどの間に出来上がってしまったとか。

大陸への侵攻の為に集められた当時の武将オールスター

しかし、秀吉の死後、使われなくなったこの城は急速に風化していってしまったらしい、今ではかつての巨大城郭を思わせる石垣が残るのみである。

早速城郭跡に入ろうとすると入り口にある建物のなかからおばちゃんに声をかけられ入場料をとられる。大人一人100円は安い。

そこを通過してぐいぐいと階段を上るといくつかの広場を経て本丸跡地に到着した。

本丸跡地に建つ岩

本丸のあったと言われる広場の真ん中にはどでかい岩が屹立しており、それを見てとっさに

「オレの方が立派だ」

などと妻に向かって去勢を張ってしまったのは男のさがというものだろうか。

だだっ広い空間に少しはしゃいでいた事も否めない。

本丸の跡地からは、海が見えた。

ここから大陸に漕ぎ出してゆく船を秀吉も見送っていたのだろう。

人の世の無常さを感じながら、私たちは本丸の跡地を背にした。

城の山を下る階段

この名護屋城跡には、名護屋城の歴史を伝える博物館もあった。

一通り城跡を見終えたので博物館の方に足を向けると、妻が露骨にいやな顔をする。

妻はこういう歴史的な遺物のようなものには一切興味がないらしい。

私が「どうしてこんなにもロマンの溢れる遺跡に興味がもてないのか」と厳しく問いただすと

「あなたがネイルアートにまったく興味が持てないのと同じだと思うけど?」という正論を返されたので黙った。

仕方がないので尿意が我慢できない事を伝え、せめて博物館のトイレだけでも見せてくれと頼み、なんとか博物館の門をくぐる事ができた。

博物館のエントランスでは、かつての名護屋城をCGで再現したショートVTRが流されており、結局私は我慢できずそれを始めから最後まで見た。

妻の視線が痛かったが、私の知識欲は大いに満たされた。

すまん妻よ。

それからまた我々は車上の人となり、一路鷹島へ向かう。

鷹島の橋

鷹島の海

鷹島にあるという「モンゴル村」の温泉を楽しむべく、寒い中車の窓を全開にしてひた走ったが、モンゴル村の入り口に着いた時、無情な看板が見えた。

「閉門17時」

時間は既に16時50分を回っていた。

ひと目モンゴル村を見たいと門内に飛び込んだが、当然ながらすっかり閉店ムードであり、動くものと言えば頭上を飛ぶトンビが数羽のみ。

車を停めて途方にくれていると門を閉める係のおじさんがこちらに向かって来て言った

「もう、ここ閉めてしまうんで、すみませんけど出てもらえますか」

私は「あ、はい」と短く答えると、車の窓を隙間なく閉め、暖房の温度を28度に上げて帰路についた。

 

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