なんと実業家ドナルド・ジョン・トランプ氏が第45代アメリカ大統領に選出されてしまいました。
「全てのイスラム教徒は入国させない」
「不法移民を防ぐ為メキシコとの国境に壁を建設する」
など、選挙中いろいろな物議をかもした発言を繰り返したトランプ新大統領ですが、
ここでは
「在日米軍に相応の金を支払わなければ撤退する」
発言等を初めとした今後の日本とアメリカの関係についてお話して行こうと思います。
在日米軍について
さてまず基礎知識として在日米軍とは一体何なのか。
これは第二次大戦後、大日本帝国軍の消滅にともないアジア太平洋地域の力の空白を埋めるために日本に進駐したGHQを起源とします。
現在ではその後誕生した日本国自衛隊と、世界に類の無い高レベルの経済力、技術力を背景とした同盟関係を結んでいます。
日本国内に84箇所、自衛隊と共同使用を認められている日米共同使用施設が50箇所、これを含めた134箇所がグアムからアフリカ大陸最南端、喜望峰までのアメリカの世界戦略の一翼を担う戦略的根拠地として機能しています。
日本の防衛予算はGDP1%枠内、約5兆円の予算の内、およそ6000億円を駐留米軍への予算として充てています。いわゆる「思いやり予算」です。
アメリカは世界中様々な地域に米軍基地を持っていますが、実は日本に駐留する米軍基地はそれらとは全く異なります。
他の地域の米軍基地がいわゆる「支社」ならば、在日米軍は「本社機能」を有する非常に重要な存在と言えるのです。
例えば、在日米軍の日本国内における燃料備蓄量は米国防省(ペンタゴン)が管理してる中でも世界第2位が横須賀の鶴見、世界第3位が長崎の佐世保です。
佐世保だけでも一説に530万バレル(85万kl)の燃料備蓄量と言われています。
これだけでも米第7艦隊の全ての艦艇を満タンにしても3ヶ月は作戦行動が可能な量です。
くわえて現在、横須賀、佐世保はアメリカ海軍艦艇の母港として機能していますが、母港となるにはアメリカ本土と同等かそれ以上の技術レベル、艦艇の整備補修能力、世界最大の艦隊の補給を支える基地機能を条件とします。
さらに基地職員、工員は世界最高レベルのモラルを持ち、世界の米軍基地の中で最も備品の紛失が少なく、サボタージュも無く海軍艦艇や航空機などの整備やバックアップを全面的に任せる事が出来る“信頼”を得ています。
これだけの高水準のサポートができるのは世界広しといえども、日本のみが成しえる事が出来る事を、以上の事実からアメリカ自身も認めていると言えるでしょう。
つまり在日米軍、ひいては日本国はアメリカにとって世界最大級の弾薬、燃料備蓄基地であり、世界最強の米海軍第7艦隊の戦略的根拠地として朝鮮、ベトナム、湾岸、そしてイラク戦争等で役割を果たし続けている、アメリカの世界戦略にとって欠く事の出来ない重要な、そして最も対等に近い同盟国なのです。
ともすれば「日本はアメリカの属国だから…」
「戦勝国アメリカはその気になれば日本なんてすぐ切るだろう」
「日本を捨て経済成長著しい中国と手を組むのでは?」
等と言った国内有識者を始め、一般の日本人からもそのような思い込みが聞こえてきますが現実はそうでは無く、アメリカにとっても日本は必要不可欠な同盟国であるということです。
トランプ新大統領について
さて話はトランプ大統領に戻ります、彼は不動産王の異名を持つ大実業家ではありますが、こと政治、安全保障、外交に関しては全くの素人である事がこれまでの発言からも伺えます。
現場、現実を知らぬ素人であるからこそ、アメリカ国民の中でも感情論の先立つ白人貧困層と共鳴し、今日の結果を生んだと言われていますが、本当のところはよくわかりませんね。
1月の大統領就任にむけての様々なレクチャーが始まる事でしょうし、そこで改めてこれらの事実について考える事になるのではないでしょうか。
在日米軍が撤退したらどうなるの
在日米軍の撤退、若しくは大きな縮小が決定してしまったとしたら…。
その影響は大きく、第二次大戦後のアメリカが主導する国際秩序の衰退は避けられません。
極東地域における米軍戦力の撤退はかろうじて保たれている東シナ海、南シナ海の力の均衡の崩壊をまねくでしょう。
膨張政策を採る中国共産党にとって沖縄の駐留米軍撤退はまさに絶好のチャンスで、この機に乗じて台湾、そして沖縄の中国領有も現実の物となる可能性が高くなります。
元々アメリカは建国以来モンロー(孤立)主義であり、ここ70年くらいが異常だったとも言えるんですけどね。
ただ、トランプ氏は「日本の駐留の為に相応の対価を支払えば駐留は続ける」とも述べています。約6000億円の思いやり予算では足りないと言っている訳です。
ではいくら必要なのか?民間のシンクタンクや防衛大学の教授2人が試算した金額では1年につき20兆〜23兆円とも言われています。
この金額は今の日本にとって、とても厳しい。
これをきっかけに日本はアメリカの庇護下からゆるやかな自立を図る機会となるかもしれません。
そうなれば日本もいよいよ戦後体制を脱する覚悟を決めなければならないでしょうね。
本日もG線上のきりんにおこしいただきありがとうございます。
世界の根底にはいぜん、弱肉強食の論理がつよく根付いています。
とはいえ、もはやそれは軍事力だけの話しではないです。
だからこそ、アメリカが在日米軍を撤退させる可能性も0とは言えないというところです。
いずれにしても最悪の事態にそなえて日本はどういう生き残り方を模索していくのか、スピード感が求められますね。
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