「仮想通貨」よりも「暗号通貨」という呼び名のほうが正しいのですが、記事中ではわかりやすさを重視して「仮想通貨」の呼び名で統一します。
2018年9月19日、日本の仮想通貨取引所「Zaif」がハッキング被害に合い、約67億円相当の仮想通貨を奪われてしまったようですね。
まあ、予想はできたことです。
おそらく今後も仮想通貨の取引所は全般的にハッキングの被害に合い続けると思います。
というのも、「完璧なシステム」というのは存在し得ないからです。
完璧なシステムは存在しない
一般的に悪魔の証明と言われますが、「ないことは証明できない」んですよね。
ミスがない、バグがないことを証明することは不可能なので、間違いが起こる可能性を0にはできないのです。
アプリケーション自体にミスがなかったとしても、それを作ったプログラミング言語自体にバグがある可能性もありますからね。
それに加えてZaifのような暗号通貨取引所のマズいところは内部にたくさんの金を持っていることがバレバレなことです。
50億円入手できる当てがあれば、49億円を経費としてつかっても一億円の儲けなわけで、それだけの金があれば取引所の重要なポジションの人を買収するのも容易でしょう。
たとえ買収できなかったとしても、その金を使って脅す手段はいくらでもあるでしょうし。
そんなこんなで私は、中央集権型の仮想通貨取引所を運営し続けるというのは無理があるんじゃないかなと思いますね。
分散型取引所
上記のZaifのような中央集権型の取引所ではなく、分散型取引所というものがあります。
これは誰かがまとめてお金を管理するのではなく、仮想通貨交換希望者同士がそれぞれブロックチェーンネットワークに直接書き込む形で通貨の受け渡しができる取引所です。
この仕組によって、少なくとも人災的な事故を防ぐことはできるのではないかと思うのですが、現在のところは交換手数料が割高になる、人が少ないので取引が成立しづらい、法定通貨との交換ができないというデメリットがあります。
しかも分散取引所って、結局は中央集権型取引所ありきなんですよね。
お金の本質とは
みなさん、お金の本質、お金の価値って一体なんだかわかりますか?
そもそもの元をたどると、お金というのは国家に対して税金が支払えるからこそ価値がある、という話を先日動画で見て面白かったのですが(下に掲載しています)
なにしろ仮想通貨というのは自国の通貨に交換できないと話にならないわけで、その意味で仮想通貨同士の交換しかできない分散型取引所だけでは困ったことになるんですよね。
必ずだれかが、価値のあるかどうか分からない仮想通貨と、一国の政府がその価値を保証した法定通貨とを交換するということをしなければ、仮想通貨自体の価値はなくなってしまうというわけです。
仮想通貨はいつでも、どんなに大量であっても即時的に法定通貨に替えることができることによってその価値が担保されています。
そのために中央集権型の仮想通貨取引所は巨額のお金を扱わざるをえなくなりますし、そうするとハッキングを受けた時のリスクも上がるという、非常に分の悪い立場にあるのだなということがわかります。
銀行もハッキングリスクが高いという意味においては中央集権型仮想通貨取引所と同様なのですが、銀行の場合は扱っているものが現金ですので、情報を盗まれたとしても現金が消えてしまうわけではありません。情報それ自体が通貨である仮想通貨とはちょっと訳が違うんですよね。
私は以上のような、セキュリティに対するコストの高騰が仮想通貨市場の発展に大きな影を落とすことになるんじゃないかなあと思います。
仮想通貨それ自体に本質的な価値がないとしたら、ハッキング被害に怯えながらそれを使い続ける意味って投機以外で果たしてあるのかなあと。
もちろん、これらはこの先解決されてしまう問題なのかもしれませんけど、そうなる前に人々の信用を失ってしまう目が強いんじゃないかなあと最近は思っています。
要はブロックチェーンを使って金を扱うっていうのは無理があるんじゃなかろうかと。
ブロックチェーン自体の仕組みについてはかなり信用がおけると思うんですけれど、お金を扱う場合、ブロックチェーンの仕組みの中だけで完結できないんですよね。
不完全な「政府」とか「国家」とかいう要素が必ず絡んでくる。
避けられないそれらの要素によって仮想通貨は失敗すると思います。
やっててよかった仮想通貨
去年の末から今年のはじめごろはちょうど仮想通貨バブルの最盛期で、私もずいぶんドキドキしながら毎日相場を眺めていました。
その頃に持っている仮想通貨はすべて売り払ってしまい、今はもう一切仮想通貨を保持してはいませんでして、相場の素人ながらもいい潮時の見極め方ができたのかなと思っています(今は)
何しろ、一つのバブルを身をもって体験できたという事は大きかったように思います。
人々の期待や、それに伴って上下する「モノの価値」をリアルタイムで味わったことは生涯の学びになることでしょう。
最近はちょっとだけ仮想通貨市場が活況になったみたいですが、私自身はまだまだ下がるんじゃないかなと予想しています。
こんなにハッキング被害の相次ぐものに、一般の人はなかなか寄りつけないのではないかなと。
だとすれば今残っているのは短時間での価格の変動性を狙ったプロのデイトレーダーばかりで、彼らも小さくなる縄張りの中でお互いを食い合って、市場規模は縮小していくんじゃないでしょうかね。
ただ、もちろんこれは短期的(5年くらいの間の)予想でそれから先はまたどうなるかわからないなあという感じです。
しかし情報それ自体に、資本主義経済下における貨幣価値をもたせるというのは、時代が進んでも無理じゃないかなって思いますね。どんな情報も漏れたり盗まれたりするものです。
物と違って盗まれる時は一瞬で大量に持ち出されます。
あまりにも危険ですわね。
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