芸能人の名前に疎い、自分ですらも名前を知っている朝丘雪路さんが亡くなったという事で驚いた。
先日は西城秀樹氏もなくなり、平成も終わろうかという今、昭和のスター達が次々に世を去っている。
その朝丘雪路さんの夫、津川雅彦さんが亡き妻に対して「すべてに感謝している」と記者に対して語ったという内容のニュースがスマホの画面に映っていた。
ニュースに使われている写真を見て「ああ、津川雅彦という人はこの人か」と思うとともに、ずいぶん年を取ったなという印象を受けた。
津川さん自身も現在体調が芳しくない様子で、鼻にチューブを刺している顔写真が使われている事で特に記憶に残っていた。
ポスト・イットの誕生
その日に私は一冊の本を読んでいて、その本にはポスト・イットの誕生秘話が書かれていた。
その本によると、ポスト・イットはなかなかに面白い過程を経てこの世に誕生している。
ある日、接着剤の開発をしている技術者が、強力な接着剤を作ろうとしたところ失敗し、良くくっつくけれども剥がれやすい接着剤が出来てしまった。
普通ならすぐに捨ててしまうところだが、その技術者はその失敗作を周りの人に見せて回ったらしい。
少しの時が流れて−
その失敗作を見た中の一人が、日曜日の教会の礼拝中に賛美歌集を開いたところ、たびたび起こる様にその日も、歌集に挟んでいた栞(しおり)がはらりと抜け落ちてしまった。
「またか…」
と思ったその瞬間、あの失敗作の接着剤の事を思い出した。
そうしてポスト・イットは産まれたのだ、と。
偶然から何を見出すのか
このような話は少なくない。
数年前に青森ではじめて完全無農薬で育成されたりんご「奇跡のりんご」が産まれたのもそのような偶然を経てのことだった。
9年間、無農薬りんごの育成に失敗し続けて、きっと何か、新しい何かが必要なんだと追い求めつづけた結果、結局のところその答えは、農薬が余ればもったいないから使うという程度の適当さで接していた、自家消費の為の梨、桃、ぶどうがくれたという。
答えはずっとそこにあったのに、見いだせなかった9年間だったということだ。
全ての事を無駄にしないこと
「全てに感謝」というのは正直、どうも宗教臭い感じがして好きじゃないのだが、この考え方には一つの真理があるとは思っている。
それは「全ての事を無駄にはしない」という心構えだ。
正直、俺には「全てに感謝」をするというのは無理だ。
この世の中にはどう考えても好きになれない事が、確実にいくつかは存在していると思う。
それはやっぱりしょうがなくて、好きな事をちゃんと好きだと言えるように、そのために嫌いな事は存在しているのだ。
それらの嫌いな物事に感謝をする事は不可能でも、無駄にしないと思う事はずいぶん容易いと思う。
そういう気持ちで日々をつぶさに観察していると、求めていた答えが、じつはずっと側にあったという事に気づける事もあるのかも知れない。
全ての事を無駄にしないという気持ちから始まる行動がいつか、全てに感謝という気持ちに変わるのかも知れない。
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