世間話

ひび割れた水瓶のお話

あるところにご主人様のために水を運ぶ人がいました。

その人は毎日水場に行って、担ぎ棒の先にぶら下げた左右の2つの水瓶を水でいっぱいにします。

そして、山の上のご主人様のもとへと運ぶのでした。

ある日の事、ご主人様のところに着いた時、右側の水瓶の水が半分に減っている事に気づきました。

水瓶を調べてみると、ヒビ割れが入っていたのでした。

その人はそれでも気にせずに、毎日ご主人様のもとに水を運び続けました。

ある日、いつも水を半分にしてしまって、いたたまれなくなった右側の水瓶がいいました。

「自分はもうひび割れてしまい、せっかく運んでもらっているのに、水を半分にしてしまいます。私の事はもういいので、どうか買い換えてください。」

水を運ぶ人は言いました。

「いいんだいいんだ、君はそんな事を気にするんじゃない。」

それからもその人は、毎日同じ水瓶を使ってご主人様のもとに水を運び続けました。

そしてしばらくたったある日、また右側の水瓶が言いました。

「私は出来損ないです。水を満杯にして運ぶ事ができない。私はもう、自分が情けないです。どうか買い換えてください。」

水を運ぶ人は言いました。

「君の下の地面には何がある?」

水瓶は答えました。

「道があって・・・花が咲いています。」

水を運ぶ人が続けていいました。

「君がひび割れた後に、道の右側に花の種を植えたんだ。この辺りはあまり雨が降らないから、なかなか花が咲く事はないが、君のひび割れのおかげで、こんなに綺麗な花の道ができた。ご主人様も喜んでくれている。あとで摘んで持って行ってあげよう。」

水瓶はハッとして、それから涙を流してよろこびました。

これまで大嫌いだった自分のひび割れの事を、今は誇らしく、愛おしく感じる事ができました。

左側の水瓶が言いました。

「これまで、水を満杯にして運ぶ事が出来る自分こそが完璧だと思っていたけれど、僕では花を咲かせる事はできなかった。君はすごい奴だ。」


一見マイナスにしか思えないような事でも、無駄な事はひとつもない。

そんな事を教えてくれる素敵な話だと思います。

本日もG線上のきりんにおこしいただきありがとうございます。

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前向きな心がけとちょっとした知恵で、誰かを、何かを救うことが出来る世界です。

 

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