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私は1983年生まれなんですが、幼稚園生の頃には既に家にファミコンがありました。
当時はスーパーマリオが大人気で、私は幼稚園の頃からゲームに夢中だったらしいです。
マリオのジャンプに合わせて、正座の状態のままジャンプしていたらしく、当時から既に非凡だったと言えるでしょう。
私世代の人でテレビゲームにハマって、親から「またゲームばっかりして」と叱られた人は多いと思います。
なんでゲームをする事が悪い事なのか、こんなに楽しい事を心ゆくまでさせてくれない親は鬼か何かなのかと、当時幼心に切に感じたものです。
テレビゲームをする事で起こる悪影響
さて、私も大好きだったテレビゲームが実際的にどんな悪い影響を与えうるのかという事が、この本には書いてあります。
本書の冒頭部に以下のような問題提起があります。
テレビゲームの致命的な欠点3つ
1) 人間が、コンピューターの決めたルールに従ってゲームをプレイする
2) 反射的な思考能力の早さを競うゲームがほとんどである
3) コンピューター相手にゲームをやっても人間との付き合い方は学べない
まず1番について。
人間が、コンピューターの決めたルールに従ってゲームをプレイする
コンピューターゲームはあらかじめ定められた「絶対的なルール」の中でゲームをプレイする事になります。ゲームの外に世界は存在しないし、ゲームのシナリオに外れた事は決して出来ないようになっています。
デジタルゲームに慣れ親しんだ人は「ルールは天から降ってくるもので、みんなが守るものだ」という思考におちいりがちであると。
この「絶対的ルール」のデジタルゲームに比べて、現実世界はどうでしょうか。
現実世界には、絶対的なルールというのはどこにも存在しません。
もちろん人との約束や法律を守る事が基本的に絶対とされていますが、あくまで平時の状況の話であり、特殊な状況、例えば戦争状態等に突入すれば敵国の兵士を殺した者が賞賛される様な事が起こります。
著者によれば、現実世界で求められている事は、ルールを自分に有利に変える事であると。
デジタルのゲームに慣れ親しんだ人間にはその発想が生まれにくく、四角四面の人間になりやすいのではないかという事ですね。
反射的な思考能力の早さを競うゲームがほとんどである
デジタルのゲームでは、特にアクションゲーム全般に言える事ですが、即応性が求められる事が多いと思います。
例えば、敵が出てきた→倒すという文脈や、クイズが出てきた→時間制限の内に答えるなどなど。その辺りがエスカレートしていくと、いわゆる覚えゲーになってしまい、そのステージで起こる事をあらかじめめ知っておかないとクリアできなくなってしまうゲームも存在すると。
そういうゲームでは、長期的な思考能力が鍛えられないですよね。
現実の世界にはすぐに答えが出ない事が沢山あり、また、平行していくつものストーリーが進んで行きます。
1つのアクションに対しての応答が、1ヶ月待ち、2ヶ月待ちと言った事も多々あり、その時間の内に新たな戦略を適用していく等の能力がデジタルゲームでは鍛えられないと。
結果、思考が浅くなってしまいがちではないかという事です。
コンピューター相手にゲームをやっても人間との付き合い方は学べない
現実世界では、目的を達成する為に、いかに人間同士が結びついて対処できるかという事が重要な点であり、AI相手のゲームでは人間の機微を察する能力が鍛えられないという事ですね。
しかし15年くらい前にインターネットを介したゲーム、いわゆる「ネットゲー」が興りました。そういうゲームだと人間関係の構築なんかは学べるのかも知れないな、とは思います。
自身の経験から言えば、私もDiabloやUltimaOnlineと言った一世を風靡したネットゲーにドハマりして学業をおろそかにして尚やり続けた過去があります。
ゲームの中で盗賊団をやっていた自分は、他のオンラインの人間を町外れで襲ってアイテムを奪うという所業を夜な夜な繰り返していました。当時だいぶ人間性を損なった生き方をしていたと思います。
そんな私を育てていた両親の心配はいかばかりであったかと、今は反省しています。
しかし今思えば、ほとんど無駄であったなと思うオンラインゲーム経験でしたが、タイピングのスピードはめちゃくちゃ早くなりました。
加えて、ゲームが上手くなったところで現実世界での恩恵はほとんどないという事に、人生の早い段階で気づけた事は大きいのかなと。
もし自分が大人になってから改めてネットゲーにドハマりしていたらと考えると恐ろしいです。ああいったゲームは本気でやればやるほど、時間が足りなくなる仕組みになっていますからね。
ということで、本日も「人間万事塞翁が馬」をモット−に人生を歩んでいます。
読後感想
この本はゲーマーの人におすすめです。MMORPGをプレイした人は共感できる所が多いかなと。昭和末期に生まれたゲーム世代の人たちに一度は読んでもらいたい本だなと思いました。
加えて、著者はニコニコ動画の仕掛け人でもあります。さすが、かなり先見の明のある人だなと思いました。
正直、私はニコニコ動画をほとんど全くと言っていいほど見ていませんので、後半ニコニコ動画の話ばかりになった所でほぼついて行けない状態になりましたが、「コンテンツとはなにか」といった部分の考察はかなり鋭く、クリエイティブな事に携わる人には非常におすすめできます。
彼によると、ニコニコ動画はデジタル世界に対向しうる最後の砦であり、そしてついには滅び行く運命であると予言しています。
今後、デジタル世界と現実世界がどのように融合していくのか、はたまた対立してしまうのか。見ものであります。
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改めて、ある意味激動の時代に生を受けたものだなと思います。
というか、振り返れば世界はいつも激動の内にあったのでしょうか。
それではまた。
※この本は無料本棚に近々追加されます。
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