日本政府が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉について大筋合意に達したというニュースを見ました。
TPPとはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreementの略で、太平洋に面したTPP加盟国同士が貿易をやりやすくしようという枠組みです。
現在TPP参加国はシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、ベトナム、ペルー、オーストラリア、アメリカ、マレーシア、カナダ、メキシコ、日本の計12カ国です。
日本は12カ国中、最も遅れて2013年に交渉の席についた為、当時は不利な条件を押し付けられるなどとしてTPP参加反対に沸いておりました。
そして今もまだ、反対の声は根強いです。
なぜ反対されるのか。
TPPって何が問題なの?
農業と食料
例えば、最も心配されているのが日本の農業を始めとする、食料自給についての問題です。
日本の食料自給率は先進国の中でも最低の水準であり、グラフで分かる通り、減少し続けています。
これからTPPが始まると、物凄く広大な土地を持つオーストラリアやアメリカの農作物が、大量に安く入ってきます。
狭い土地しか持たない日本の農家は価格面で歯が立たなくなり、廃業してしまうでしょうと。
そうすると日本の国内食料自給率はさらに減少してしまいます。
加えて、水田や畑はただ作物を作るためだけではなく、環境や生態系の維持にも一役買っているので、環境問題にもなると。
外国から入ってくる農作物が本当に安全基準を満たしている物かどうか、という事も問題になります。
しかし、日本の食物安全評価基準も欧米と比べれば劣っているという話もあるので、ひょっとしたら良くなってしまう事もあるのかも知れませんね。
医療
次によくやり玉に上げられるのがこの項目なんですが、国民皆保険制度が崩壊とか言われていますね
しかし、日本や他国に医療保険制度を民営化するよう強要する協定ではない。というアメリカサイドからの発言もあります。
あるTPP反対派側のサイトに、医療機関が自主的に診察料を決定できる保険外診療が増え、それによって医療費や薬価の高騰が予測される。と書いてあったのですが、これがちょっと意味わかんないんですよね。
確かに、TPPが始まり、そういった病院が出来れば、お金を持っている人が保険診療外の先進医療を受けたいとした時に、そういった医療機関にかかる様になる事でしょう。
しかし一般の人々は今まで通り、保険適用の医療機関に診てもらえばいいんじゃないのかな。
国民医療費が右肩上がりの現在、お金持っている人は全額自費で高度な医療を受けてもらえば、国の福祉財源も多少は目減りを防げるんでは。
インフラの高騰の可能性
例えばこういう事例があるようです。
米企業アジュリは1999年、ブエノスアイレス地域の水道を30年間運営する権利を取りました。その時から水道水がまともに供給されず、翌年には毒性バクテリアまで検出されました。
地方政府は2001年、アジュリ社の運営権協約を終結させました。当然ですよね。
しかしアジュリは仲裁手続きを申請、2006年7月にアルゼンチン政府から米国-アルゼンチン投資協定に基いて1億6500万ドルの賠償金を受け取りました。
ISD適用事例(メキシコ、カナダ、アルゼンチンなど)|シンシアリーのブログ
これはちょっとあまりにお粗末な話ですよね。
さすがにインフラはその国で管理するべきだと僕は思います。
日本は水道の権利を外資に委託するような事になって欲しくないですね。
・・・とここまでで以上。主に生活に直に影響する所はこんな所かと思います。
その他GDPが上昇するとか下降するとかいう試算が出ているようですが、実際にTPPが完全となった時の多方面への連鎖的影響は計り知れないと思いますので、ここでは話題に挙げない事にします。
この以上TPPが気になる人はこちらをどうぞTPP - Google 検索
TPPを始めとするグローバル化の波はもうしょうがない。
まあ、上の方には延々とTPPの心配事ばかりを書いてきた訳ですが。
これから益々、日本を含めて世界は、否応なしに世界標準の波に呑まれていくだろうと思います。
そもそも単純に世界中、時間さえ経てば勝手に交じり合うものだと思うんですよね。
そこに現代インターネットが出来て、一瞬で通信が出来るようになって、コミュニケーションが簡単になってしまった。
そうなると取引も増えるし、取引が増えて経済的な結びつきが増えるともうケンカとかしてられなくなっちゃうんですよね。
つまり、経済で世界中が密に結びつく事ができれば、世界から戦争はなくなってしまうんじゃないかなあとぼんやりと思う次第です。
このTPPも、明らかに対中国の経済圏の育成を意識していますよね。
これから中国がどうなるかはわかりませんが、とりあえず、東南アジアはすごく伸びてるらしいので、そこと結びつくというのは悪くない話だと思います。
農家の人たちなんかはこれから少しきつい時代がやってくるかも知れませんが、本当にいい仕事をしていればお客さんはついてくるものだと思います。
最近は特別美味しいお米を作って、ネットで販売する事でものすごい顧客と売上を持っている米農家さんなんかもいるようです。
日本はかつて、牛丼が300円くらいで食べられる国ではありませんでした。しかし牛肉を安くでアメリカから輸入できるようになった事で、美味しくしゃぶしゃぶが食べ放題出来るようになったんですね。
そして、その影で沢山の畜産業の人が廃業を迫られたことでしょう。
そんなものだと思います。
多くの新しい試みが行われて、多くの旧いものが壊されて行くんでしょう。
食料自給率の問題だとか、真水が足りなくなる問題だとか、そのうち新技術でなんとかなるだろうと僕は思います。
大事なのは旧いものにしがみつきすぎない事、革新を嫌がらない事だと思います。
なので政治家の方々にはこのことを大きなチャンスと捉えてもらって、前のめりで有利な交渉をやっていってもらいたいものですね。
僕達にも新しいチャンスが巡ってくるかも知れません。
注目したいですね、TPP。
それではまた。
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