エッセイ

美しい物は外にではなく、自分の中にある

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先週の土曜日に、ピアノ教室に通っている子どもたちの発表会を見に行ってきた。

場所は佐世保アルカス(市民文化ホール)の中ホールで行われるとあって、本格的なものだった。

この様な場所を用意してやれる大人の力というのは素晴らしいものだな、と思った。

子どもたちはみんなおしゃれな、発表会用のフォーマルな衣装に身を包んで、ひたむきな演奏を聴かせてくれた。

音楽を始めたばかりの子供達の演奏は拙かったが、先生に導かれながら、一生懸命音を紡いでいた。

その子達の演奏が終わるとき、できるだけ大きな拍手を送りたい気持ちになった。

多分、人というのは、こういう場所で一生懸命演奏をして、その最後に拍手を浴びる事でわずかでも良い方に向かう事ができるものだと思う。

演奏を聴かせてくれたお礼にその小さなプラスをお返しするのは当然だと思った。

本来のここに来た目的であった、僕の恋人の妹の演奏もとても素晴らしく、聴き入る事が出来た。

というのは実は少し嘘が混じっていて、僕はとにかく良い写真を残す事に一生懸命だった。

写真を撮るときというのは、一人だけ特別な空間に居るようなもので、意識はファインダーに集中しているので、ピアノは遠くで鳴っている様な感覚だった。

とにかく、私は自分なりに納得の行く写真が撮れたと思ったし、その間に聴こえるピアノの音色は彼女らしいかわいい音で、素晴らしく完璧なものに感じる事ができた。

ドビュッシー「月の光」

プログラムの最後から2番め、ピアノ教室から卒業するという今年18歳の女性が弾いた「月の光」に僕は完全に聴き入ってしまった。

その人は小学校に入るか入らないかの頃からピアノを続けているらしい。

これまでの感謝の気持ちを込めて弾くとあったその演奏は本当に素晴らしかった。

僕は、静かな夜に青い月が浜辺を照らし、そこに繰り返しうち寄せる白い波頭がキラキラと輝く情景を脳裏に浮かべていた。

僕は2つのことに感動していた。

1つはもちろん眼前で演奏してくれている彼女に対して。

彼女のこれまでの人生のほとんどの時間、ともにあったピアノという楽器を使った彼女の人間性の発露の輝きに心を打たれていた。

そして2つめはその事を感じ、感激できている自分に感動していた。

美しい物は結局、自分の外ではなく、自分の心の内にあるのだと思う。

あの演奏を聴いてから、僕は、自分にも頼りに出来る楽器があるという事に大きな喜びと感謝を感じている。

音楽は深い。

意思の力は無限であり、その力は音楽の、一音のすみずみにまで満ち渡らせる事ができると思った。

そして音楽の一音に意識を研ぎ澄ますように、日々、瞬間をより意識して過ごして行きたいと思っている。

本日もG線上のきりんにおこしいただきありがとうございます。

それではまた。

 

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