エッセイ

温泉の良さは水風呂にあると見つけたり

気温が低くなってくると総アルミボディーのMacBookに触るのが億劫になってくる。

とても冷たいのである。

そしてやや強引ではあるが、最近の自分にとって印象的な冷たいものというと、温泉にある水風呂である。

温泉の良さというのは、ひょっとすると水風呂の質によるのではないかという気がするほどに、ぼくのなかでの水風呂の存在感が大きくなっている。

今日は水風呂の良さについて語ってみたいと思う。

水風呂の良さ

人はコントラストによってしか、物事を認識することができない。

つまり、光にあふれた場所ではすべてが真っ白になってしまい、物を見ることができないというような事である。

ほどよい光があって、あるていどの影ができる事で、わたしたちは物体の形を認識することができる。

温度に関してもおなじことで、たとえば次のような実験がある。

片方の手を20度くらいのぬるま湯につけておく。

もう片方の手は氷水につけておく。

しばらくその状態のままにしておいてから、40度くらいのお湯に両手を突っ込むと、どうなるのかという話である。

既におわかりかも知れないが、ぬるま湯につけていた手よりも、氷水につけていた手の方がより熱く感じるのである。

温泉も同じことで、温泉の本当のぬくもりを感じようと思えば、温泉施設の中でもっとも体を冷やす事のできる装置=水風呂を使っての他はないのである。

水風呂に入らずに温泉に入ったところで、そのぬくもりを100%感じることが出来たとは到底いいがたい。

加えて、幸福感もまるで違ってくるのだ。

ローマ貴族のように

かつてローマ貴族は、その文明の絶頂期において、食べる楽しみを追求するためにゲロをしまくっていたという話をご存知だろうか。

ローマ貴族の大邸宅の中にはゲロ吐き部屋があり、そこにゲロ吐き専用の鳥の羽がおいてあり、それを使って喉をくすぐり、ゲロを吐くことで、エンドレスに食事の楽しみに興じようとしたということである。

そんな事してるから滅んだんだよって感じではあるが、人間の飽くなき欲求を無邪気に追い求めているとも言える。

つまり、空腹なのは辛い、しかし、食事をするという幸福感を味わうためには必要な苦しみなのである。

そして、お腹がいっぱいになってしまったとき、その幸福感も消えてしまうので、もういちどゲロでリセットをしてしまおうという試み。

これは実に食物に対して敬意のない行為であり、現代モラル的に決して許されてよいものではないが、温泉では似たようなことが可能なのである。

つまり温泉に入る(満腹)→水風呂に入る(ゲロ)→温泉に入る(満腹)というサイクルを、資源をさほど無駄にすることなく体感できてしまうのだ。

こういう贅沢を味わえる施設が他にあるだろうか。いやない。

しかも温度差で血管が拡がったり縮まったりすることで、わりかし健康にも良いという。

ということで皆もっと温泉で水風呂を活用した方がいいと思います。

サウナに入ったあと水風呂に入る人は多いのだけど、その場合汗を流すために一度水を洗面器などに汲んでから体にかけて流さないといけない。

これは水風呂の魅力を大きく減じてしまう行為だと言わざるをえない。

やはりアツアツの体をいきなりドボンと冷やしてしまうことが実に気持ちいいことであるので、読者のみなさまにとっても是非、実践していただきたいところである。

本日もG線上のきりんにおこしいただきありがとうございます。

コントラストを簡単に味わえる施設はないかも知れないけれども、呼吸を限界まで止めて再開するだけでも案外、結構幸せを感じることができるものかも知れない。

 

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