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エッセイ

故障と、失敗の確率

先日、土光敏夫さんという人について知りました。

土光敏夫さん

土光さんは明治生まれの実業家で、サラリーマンから日本経済団体連合会(経団連)の会長になった人です。

当時の総理大臣、田中角栄さんが「日本列島改造論」をおこなった際に起こった物価高とインフレに警鐘をならし、日本の行政改革をおしすすめた人としても知られています。

物価高、インフレで、当時の政府の予算枠が増えつづけることを食いとめようとしたんですね。

伝記を見ると、まさに無私をつらぬいた人であり、財界人でありながらも、昔ながらの質素な生活をつづける土光さんをメディアはほめたたえました。

あるとき、土光さんの食卓での食事がテレビで放映されました。そこでメザシを食べていた事から「メザシの土光さん」というあだ名がつけられました。

質素倹約を、国をあげて取り戻そうという行政改革のシンボルとして活躍されたということです。

土光さんのタービン

土光さんは、若いころタービンの設計をしており、ある時「自分の会社のタービンを使ってください」と大きな取引先にお願いをしました。

相手方は「もしも欠陥があった場合は、返品をする事になるがいいか?」と言ったところ、土光さんは「それで結構です」と取引を成立させてしまったんですね。

会社に帰ってからは、どうしてそんな約束をしてしまったのか、と社内が騒然としたらしいですが、とにかく、土光さんにやらせてみようと。

土光さんは毎日、夜おそくまで最終確認をくり返し、ついに納入した結果、そのタービンの品質は素晴らしいものだと評価されたのです。

この出来事が、そのとき土光さんのいた会社にとっての大きなターニングポイントとなったということです。

確認をすれば機械は故障しない

土光さんはよく「ちゃんと確認をすれば機械は故障しない」とおっしゃっていたようです。

確かに、理屈ではその通りです。

しかし、実際的な生活の中で、ぼくは「物が壊れてしまうのは当然の事で、仕方が無いことだ」と思っているフシがあります。

100%はありえない事だと。

しかし、ひょっとしたら土光さんは100%を求め、それを達成していたのではないだろうか、なんて思わせてしまう凄みを感じてしまいます。

すくなくとも、土光さんは生涯、100%を求めつづけてきたのだろうと。

そしてそれは、僕のなかにちょっと欠けていた部分だ、ということを思いました。

100%を求めなくなった現代

最近のゲームはバグだらけだ、なんていう声がよく聞こえてきます。

理由は、インターネットが整備されたことで、もしもソフトウェアに異常があった場合、開発者は簡単に、ネットを使って異常を修正することができるからです。

確かに、この手法は合理的なのですが、ソフトウェアの世界では100%の物を作りこむという精神が失われていっているのかも知れません。

これがソフトウェアでなく、ハードウェアであれば大変な事だよという動画をまえに見て、面白かったことを思い出しました。

「100%はありえない、形あるものはいずれ壊れてゆく」たしかに、これは真理です。

物が壊れた時に、こう言うのはとても簡単で、くやしいけれども納得も、します。

しかし、これは自分が100%の仕事をできていないがゆえの、甘えのようなものなのかも知れないなあと、土光さんの言葉を見て感じたのです。

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本日もG線上のきりんにおこしいただきありがとうございます。

土光さんの生きた時代と今では、物の複雑さについて、違いも大きいと思います。

確かに、100%はありえない。

ありえないけれども、そこに腰かけてはいけない。

99%でも99.9%でもなく、100%を求めて生きたいものだと思ったのです。

 

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